♪怪物王子6 【怪物くん登場】

怪物王子6  【怪物くん登場】  パロディ小説



ヒロシと怪物くんイラストをクリックすると大きくなります。


 (あらすじ風に短くしました。)

 
 グランドで、数人の男の子が野球を楽しんでいた。
 ヒロシは外野で、冴えない球拾いの役だった。
茂みに手を突っ込み、屈んでボールを探した。

 その時、茂みの中からボールを持った手が現れた。
手の主はヒロシと同じ年頃の少年だった。
少年は、笑みと同時にボールを差し出した。
「はい、どうぞ。」
屈んだ背を伸ばしながら、ヒロシは受け取った。
「ありがとう。」
ボールをダイヤモンドの方へ返した。

 ヒロシは草の上に座った。
その横へ座った少年は、真新しいスーツにネクタイを
締めていた。

 暫くボールが飛んで来ないので、空を見た。
青い空、白い雲。
平和だった。
 
 だが、ヒロシはそんな平和な日常に、密かに冒険を
求めていた。

 野球が終わっても、見知らぬ少年は帰らずに、
スーパーで買い物をするヒロシの後を付いて歩いた。
何も買わずにヒロシの邪魔ばかりする少年に
ヒロシは・・・
「君さ、僕の真似なんかして、馬鹿にしてるの?」
「いや、そんな事はない。」

 今までに買い物をした経験がないと言う少年。
「君さ、友達がいないんなら、僕が友達になってあげて
 もいいよ。」
「本当か!?」
嬉しそうに答える少年。

 ヒロシは買い物を終え帰路に着き、少年も一緒に
歩いた。
 丁度、怪物屋敷の門の前を通り掛かった所で
少年は立ち止まり、告げた。
「この屋敷は・・・。」
だが、ヒロシは振り向かずに過ぎて行ったので、
少年は慌てて追った。
ヒロシはスマして答えた。
「ああ、この屋敷ね?
 きッたない屋敷だと思わない?」
「・・・。」
「人が住んでいるのかいないのか、分からないけど。
 庭は草が伸び放題。
 こないだもね、巡回中の消防士さんが言ってたよ。
 こ〜ゆ〜手入れのない家は、不審火の火事の
 確立が高いって。
 それにね・・・、この屋敷・・・。
 実は怪物屋敷なんだよ!?」
「・・・。」
「僕のおじいちゃんが言っていたんだ。
 子供の頃好奇心でこの屋敷を窓から覗いたんだ
 って。
 そしたらいたんだ、気味の悪〜い怪物が・・・!!」
「・・・。」
「そして、こっちを振り向くと、おじいちゃんと目が合って
 笑ったんだ。」
ヒロシは両手を上げ、わっ・・・!!と迫った。
「ゲボハハハッ!!」
「・・・。」
「・・・あっはっは!!
 どう?驚いた?でもね、
 この話誰も信じてくれないんだ・・・。
 僕はおじいちゃんを信じるよ。
 いつかきっと、僕の目の前に怪物が現れて言うんだ。
 ゜友達になろう゜って。
 そして、そいつと親友になるんだ!!」

 ヒロシの目は遠くを見詰め、輝かせながら・・・。
「笑わないでよね?僕は真剣に言っているんだ。
 これは僕の夢なんだ!」
「いや。お前の話、よく分かるぞ。」
「え?信じてくれるの?」
「当たり前だ!」

 ヒロシの歩調はますます軽くなる。

「嬉しいなぁ・・・。君とはいい親友になれそうだよ。
 あ、ここ僕のアパート。寄って行かない?夕飯ご馳走するよ。
 僕の話を信じてくれたお礼にサ。」

 ヒロシの部屋は雑然としていた。

「名前、まだだったね。僕ヒロシ。君は?」
「オレは、怪物太郎。」
「そう、太郎くんか。よろしく。」

 ヒロシは台所に立つと手料理を作り始めたが・・・。
太郎から、手際の悪さ、食品の鮮度不足を指摘され、逆に
説教を始める。

「世の中にはね、お腹が空いても食べる物がなくて死んじゃう
 人もいるんだ!それにね、戦争中は食べる物がなくて、草の根
 も食べたんだ。
 ・・・って、僕のおじいちゃんのおじいちゃんが言っていたんだけど。
 だからサ、食べ物は大事にしなくちゃいけないんだよ。」

鍋一杯に作られたカレーを二人で平らげて、ヒロシは・・・
「僕は将来一流ホテルのシェフさ。その時は部下とみんなで
 君にご馳走するよ!」

 得意満面のヒロシ。
ドタッ・・・!と畳へ寝転んだ。

 だが、太郎は落ち着かない様なので、ヒロシは訊ねた。
「どうしたのさ?」
「なんだか苦しくて。」
「格好つけてベルトなんか締めているからさ。
 そんな物取っちゃいなよ。」
ヒロシは太郎のズボンに手を掛け、ベルトを外した。
「ほら、こうやってボタンを外して、ジッパーも下げて・・・、
 横になっていればその内楽になるよ。」
「・・・そうか。」

 太郎も横になって寝転び、二人はそのまま眠ってしまった・・・。







 その頃屋敷では、慌ただしく引越しの荷物を
三人組が片付けていた。

 そこへ様子を見に、侍従長が到着した。

 台所で片付けるオオカミ男に聞いた。
「少しは片付いたようだが?
 ところで、王子殿はどこに?」
「あ〜?ぼちゃんなら、ドラキュラが。
 ぼちゃんの部屋の本棚を片付けるからって、連れて行ったで
 ガンスよ。」
「そうか。」

 階段を上がり怪物王子の部屋を覗くと、ドラキュラは一匹(ひとり)、
分厚い事典を広げて読みふけっていた。

「ドラキュラ。」
ドラキュラは慌てて事典を閉じた。
「何か・・・、御用ザマスか?」
「王子殿はどうなされた?」
「それなら・・・。フランケンが窓を拭いているのがおもしろいと、
 付いて見ているザマス。」

 侍従長は溜息をついてフランケンの所へ来た。
「フランケンよ。」
「あ、フンガー?」
「王子殿は、どうなされた?」
「あ〜、フンガーフンガーフガフンガー。」
「・・・ふむ。」

再び台所へ戻った。
「オオカミ男。王子殿は・・・?」
「それなら今さっき・・・。」
振り向きもせずに、指だけを示した。

 だが、一喝され、慌てて起立した。

「お前は気が付かんのか!?」
「はあ?何をでガンス?」
「王子殿がいなくなった事にだ!!」

 ドラキュラとフランケンも台所に呼ばれた。

 三人組が、お互いに責任を押し付け合う様を見て侍従長は
嘆いた。
(ああ・・・。
 なぜ怪物大王はこの三人を怪物三人組に選んだのか?)

 侍従長の命令で、三人組は屋敷の外へ出た。
外はすでに暗くなっていた。

 鼻が利くオオカミ男が先頭に立ち、匂いを追った。
匂いは荒間荘の門まで続いていた。
「間違いないでガンス!ぼっちゃんはこのアパートの中で
 ガンス。」
「フンガー。」
「では、行くザマス!」
ドラキュラは目で合図をした。

 三人は部屋の前に立った。

「しっ!!・・・聞こえるザマス。ぼっちゃんの声。」
部屋の中では、二人は目を覚まし、ヒロシは銭湯へ行く準備を
始めていた。
 ヒロシは思い込みで太郎の事を、家出だと決めていたのだが・・・。

「とにかく。今日はサ、僕ん家に泊りなよ。
 布団は一組しかないけど、詰めて寝れば大丈夫。
 二人位何とか寝られるよ。」

ヒロシの声を聞いたドラキュラ・・・
「はあ〜!?ぼっちゃんが男の子と一つの布団に
 寝るザマスと!?」
慌てるオオカミ男。
「なんでガンスって!?」

「僕、今から銭湯に行くんだ。君も一緒に行こうよ。」

「〜!!ぼっちゃんが男の子と一緒にお風呂ザマスって!!」
「なんでガンスって!?」
オオカミ男がドアノブに手を掛けようとした時、中からドアが開けられた。
ヒロシの後ろの太郎は、
「お前たち・・・?よくここが分かったなぁ?」
目を丸くした。
「ぼっちゃ〜ん!!探したんでガンスよ〜!?」
「オレ、今から銭湯に行くんだ。」
「銭湯もいいザマスが・・・。今日は、とにかくこれでお帰り下さい。
 じいやさんがとっても心配しているザマス。
 今夜中にぼっちゃんのお顔を見て帰る様に言われているそう
 ザマス。」
「フンガーフンガー!」
三人組の必死に懇願する姿を見て、太郎は銭湯を取りやめ
「明日な・・・」とヒロシと約束を交わすと、人相の悪い三人組と共に
荒間荘を去って行った。





 翌日、遅い午後、太郎は屋敷の門を出て行った。
 屋敷の庭では、フランケンが手入れをしていた。

一方、屋敷の中は・・・。
落ち着かないオオカミ男。
「おや、オオカミ男。どうしたザマス?」
「ぼっちゃんが昨日のアパートに・・・!!」
「行ったんザマスか?」
「そうでガンス!!
 それもぼっちゃん、ベルトと靴下を忘れて来たと・・・!!」

だがドラキュラはワザと落ち着いて見せて、冷蔵庫からトマトジュー
スを取り出した。
「これこれ。昨日初めて飲んだザマスが、美味しかったザマス。」

そんなドラキュラを見て、益々焦る・・・。
「ドラキュラ〜!?ぼっちゃん、あの少年の所でガンスよぉ!?」
嫉妬心も隠せない・・・。

「オオカミ男?もっと人間の世界の生活を楽しむザマス。
 お前だってこっちに来れば、じいやさんの顔を見なくて済むと、
 喜んでいたザマス。 
 まあ昨日は・・・、アタクシも驚いて慌ててしまったザマスけど・・・。」
そう言って全く気にもとめない素振りでトマトジュースを飲むドラキュラ。

その姿を恨めしく見据え、ただ、ただひたすらに耐えるオオカミ男・・・。






 太郎は荒間荘の門の前で、学校から帰るヒロシを待っていた。
 向こうからヒロシが歩いて来るのが見えた。
「ヒロシ!」

ヒロシを屋敷へ、遊びに来るように誘った。
 屋敷の庭は、見違える程に美しくなっていた。
「どうだヒロシ。屋敷の庭、キレイになっただろ? 
 これからは毎日フランケンに手入れをさせるから、今まで
 の事は勘弁してくれ?」
「うっ・・・!うん。」

 昨日、ヒロシは庭の事を悪く言ったが、少年太郎は謙虚に受けて、
フランケンに手入れを言い付けていた。

「フランケン、ヒロシを連れて来たぞ。仲良くしてやってくれ。」
フランケンは微笑み、汗を拭ってヒロシに握手を求めたので、
ヒロシはそっと交わした。
「よし!フランケン続けてくれ。ヒロシ中に入ろう。」

 リビングに入ると、ドラキュラが新聞を読んでいた。
「ぼっちゃん、お帰りなさいザマス。」
新聞を置いて立った。
「ドラキュラ、おはよう。ヒロシだ。」
「ヒロシクンザマスか。アタクシは、勉強係りをしている、ドラキュラ
 伯爵ザマス。」
「ドラキュラ?・・・ねぇ太郎くん、ドラキュラって・・・?」
「大丈夫だよヒロシ。人間の血は吸わない様に、ちゃんと言ってある
 から。」
「ヒロシクン。ぼっちゃんのお言い付けは絶対ザマスから、どうか
 安心するザマス。」

 ヒロシは戸惑っていた。

 太郎がヒロシの手を引いた。
「ほら!握手くらいしろ?」
ドラキュラと握手をさせた。
「ヨロシクザマス。」
ドラキュラの声は、ヒロシを歓迎して優しかった。
「よ、よろしく・・・。
 あのぅ・・・、勉強係りって、太郎くんの?」
「そう、家庭教師みたいなものザマス。・・・それから、ぼっちゃんの
 名前は”怪物”で、太郎は称号ザマス。ぼっちゃんは、怪物ランド
 の大王の息子ザマス。」

驚愕のヒロシ。

「君・・・!!怪物の王子様なの!?」
「どうして驚くんだ?ヒロシ、昨日は言ってくれたじゃないか。
 オレが怪物でも親友になってくれるって。」
「・・・・。」

それは、そうだが・・・。
まさか信じられない・・・。

「でも・・・、信じられないよ。」
「じゃあヒロシ、見ていろ。」
太郎は大きな声で呪文をとなえた。
「念力集中!!オレの体よ、巨人にナレ!!」
すると見る間に太郎の体は巨人になり、リビングを占領した。
「うわー!!太郎くん!?」
「驚くのは早いぞ!!これはどうだ!?
 念力集中!!オレよヒロシになれ!!」
太郎はヒロシになった。
見詰め合う二人のヒロシ。

「・・・僕だよ!!そっくりだ!!」
ヒロシの声は高く上ずった。

念力を解く太郎。
「どうだ?これでオレが怪物だって分かっただろ?」
「うん!!すごいよ!!君って本当に怪物なんだ!!」

 すごい!!すごい!!すごい!!

見た目は普通の少年なのに・・・!!
「驚いたなぁ!!」
(でも・・・、僕の夢が・・・叶ったんだ!!)

ヒロシの喜びが表情に出る。
受け入れる太郎。
「今日からオレ達は親友だからナ。これからは”怪物くん”
 でいいゾ!」
「うん!怪物くん!!」
ヒロシは、怪物王子から差し出された手をしっかりと握り
返した。

 怪物王子はオオカミ男を呼んだ。
 
 オオカミ男は台所から現れ、ヒロシの顔を見て表情を
曇らせた。

「オオカミ男、ヒロシだ。オレの親友だから、これからは
 特別扱いするように。」
だが、オオカミ男は返事をせずに黙ったままでいたので、
王子が念を押すとやっと答えた。

「じゃあ、握手しろ?」
王子に言われ渋々出した右手を、ヒロシが握り返した。
「よろしくでガンス。」
その声に情愛は無く、冷たかった。







「ヒロシ、今日はオレを銭湯に連れて行け。楽しみにして
 いたんだ。」
「うん。」
「ぼっちゃん、本当に銭湯へ行くんザマスか?」
「もちろんだ!それから今夜はヒロシの家に泊る。
 いいだろうドラキュラ?」
「そうザマスね・・・。いいザマス。
 人間の世界に来たんザマスから、こらからはヒロシクンに
 色々と教えてもらうといいザマス。」









 食堂では夕食の用意が整えられた。
オオカミ男は手際が良かった。

「ぼっちゃん。
 あっし、以前からずっと作ってみたいと思っていたカレー
 ライスを早速作ったでガンスよ。」
「よかったぞ、ヒロシ!!
 お前の好きなカレーだ!!」

苦笑いのヒロシ。
何も答えない。





 食事の後、怪物王子はヒロシと二人で銭湯へ向かった。
”見送りはしなくていい”と、三人組を玄関から出さなかった。
 三人組は窓から見送った。

「ドラキュラ〜!!ぼっちゃん本当に行っちゃったでガンス〜!!」
嘆くオオカミ男。
「大丈夫ザマス。ヒロシくんはいい子ザマス。
 どうやらぼっちゃんは、ヒロシクンから色々と教えてもらった
 ようザマス。」
「ああん?」
「お前は気が付かなかったザマスか?食事中のぼっちゃんの
 表情(お顔)に・・・。
 あんなお顔、今までに見た事がないザマス。
 あれはきっとヒロシクンのお陰ザマス。」
「そうでガンスけど・・・。」

 ドラキュラは、ヒロシを良い少年だと思っていた。







 翌朝、バイトへ出掛けるヒロシについて、怪物王子は新聞配達
を手伝う。

 だが、王子の思っていたほど仕事は楽ではなかった。






 屋敷に戻り、疲れきった王子に話しかけるドラキュラ。
「ぼっちゃん元気がないザマス。どうしたザマスか?」
「・・・仕事って、大変なんだな。」
そう答え、目を伏せた王子。

 同じ年頃の少年の生活を知る。

あれ程憧れていた人間の世界・・・。
 怪物ランドから見た人間の世界は、いつも明るくて
楽しそうで、とても美しかった・・・!!

 今、人間の世界での生活はすでに始まっている。
三人の従者と共に・・・!!

 さあ!!これから怪物ランドの王子のどんな活躍が
始まるのか!?


 頑張れ怪物くん!!!
 頑張れ、怪物三人組!!!













     怪物王子 6


         【怪物くん登場】      ・・・おわり

 







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